【見た目は変わらないのに中身は別モノ!?】メルセデス・ベンツの最高級オフローダー「Gクラス」がマイナーチェンジで大変貌! 中古車市場も高騰化が止まらない⁉️

【見た目は変わらないのに中身は別モノ!?】メルセデス・ベンツの最高級オフローダー「Gクラス」がマイナーチェンジで大変貌! 中古車市場も高騰化が止まらない⁉️

2024年10月9日

メルセデス・ベンツの本格オフローダー「Gクラス」が、2024年7月に改良を受け発売されました。18年のビッグマイナーチェンジ以来の改良で、型式もW463AからW465へと変わりました。従来型からどこが変わったのか、試乗インプレを交えて紹介します。

■Gもついに電動化&デジタル化

生粋のオフローダーでもあるGクラスも、昨今の自動車全体の電動化やデジタル化には逆らえないようで、今回のマイナーチェンジでは多くの部分が変更されています。正直、18年の大幅改良でも変わらなかった車両型式が刷新されていたことには驚きました。これは、Gクラスが初めて電動化された世代だということ、そしてこの後に登場が控えてるBEV(電気自動車)にも関係しているのでしょう。

改良のおもな内容を挙げると、
・全車マイルドハイブリッド搭載による電動化
・車両の細部まで見直し、最適化を図ることによる空力特性/静粛性向上
・インフォテインメントシステム「MBUX」初搭載
・電子制御サスペンション「AMG ACTIVE RIDE CONTROL」を採用(メルセデスAMG G63のみ)
といったところが大きく変わった点です。

この改良ではグレード展開も少々変わっています。3.0L直6ディーゼルターボは「G450d」と数字が従来の400からまた大きくなりました。4.0L V8ガソリンターボは「メルセデスAMG G63」のみとなり、両グレードともまずは「ローンチエディション」のみの展開。通常グレードは今後追加されるのではと予想されます。

■対話型AIシステム「MBUX」初搭載!

見た目ではほぼ違いがわからない、新型のGクラス。フロントガラスの上端部に小さなスポイラーが付いたり、AMGモデルのG63にはフロントバンパーの両脇開口部に縦のスリットが追加されていたり、細かいところが変わっています。しかし、パッと見ではほぼ旧モデルとの判別はつかないでしょう。進化したのは、見た目ではなく中身の部分が大きくなります。

なかでもパワートレインのマイルドハイブリッド化は、この改良最大のポイントともいえるでしょう。メルセデス・ベンツの他車同様、ISG(インテグレーテッド・スターター・ジェネレーター)と48V電気システムを組み合わせたものを採用。両ユニット共に、ISGの出力は20ps/200Nmに設定され、エンジンを効率的にアシストします。

パワーユニットの電動化とともに、コックピット周辺のデジタル化もこの改良の見所です。対話型AIインフォテインメントシステム「MBUX」を、Gクラスとしては初めて搭載しました。音声認識機能が優れているMBUXでは、ナビゲーション設定や音楽の選択だけでなくエアコン調整や照明なども、「ハイ! メルセデス」のひと言から音声によってコントロールできるようになります。

ディスプレイには、階層を持たないゼロレイヤーコンセプトの最新インターフェイスを採用し、ナビゲーションにはAR(拡張現実)ナビを搭載。さらに、メーターディスプレイとセンターディスプレイの両方が手元でコントロールできるマルチファンクションステアリングなど、メルセデスの他車と同じ最新技術が惜しみなく投入されました。

■驚くべきは乗り心地

今回試乗したのは、メルセデスAMG G63 ローンチエディション。AMGが専用開発したM177型V8ユニットは従来から変わらず、そこに+20psのISGがプラスされています。そして、このG63には、Gクラスとしては初搭載となる電子制御サスペンション「AMG ACTIVE RIDE CONTROL」が備わっています。このサスペンションが、以前のG63とはまた違った乗り味を生み出していました。

以前18年の大幅改良直後に、同じクロカン系のジープ ラングラー、ランドローバー ディフェンダーの2車との比較試乗をする機会がありました。フロントサスペンションが左右独立化した初のGクラスは、伝統のラダーフレーム+前後リジッドを継承するラングラーと、フルモノコックボディへと生まれ変わったディフェンダーの、ちょうど中間くらいの乗り心地だったと記憶しています。ラダーフレーム特有の揺れがかなり抑制されていたものの、モノコックボディのディフェンダーほど快適性に優れているわけではありませんでした。

その18年モデルと比べて今回のGクラスは、乗りはじめからその違いが明らかに感じ取れました。ゾーン30の低速域で「あれ? こんなに乗り心地よかったっけ?」と拍子抜けするほど、しなやかに路面の凹凸を吸収します。

■高速域でも優秀なセッティング

以前までのイメージは、モノコックボディのSUVとはひと味違う、ちょっと硬めの引き締まった乗り味といった印象でした。それが、いい意味でほかのメルセデスSUVに近づいたソフトな乗り心地を手に入れたのです。そして、フレーム車独特の揺れも、以前に増してほとんど感じられないレベルまで抑え込まれていました。

この乗り味だと高速域では柔らかすぎるのではと思いきや、いい意味で裏切られました。ひと言で表すなら、ソフトさを持たせながらコシのある乗り心地とでもいいましょうか。無駄な揺れはこの速度域でも抑制されていました。これならば、同乗者から揺れすぎるというクレームが起こることは少なくなるでしょう。

そしてドライブモードをスポーティなSやS+に切り替えれば、まるでスポーツカーのようにサスのセッティングは締まります。2m級の背の高さを忘れるほど箱根のワインディングを気持ちよく駆け抜けることができました。

まるで、ほかのメルセデス車のエアサスのような乗り心地でしたので、エアサスに変わったのだとばかり思っていましたが、従来どおり金属バネのサスペンションを継続していたことにも驚きました。この重量級ボディの乗り味を、見事柔軟に切り替えてくれるAMG ACTIVE RIDE CONTROL。今までGクラスに乗っていた人ほど違いがわかるであろう、新生Gクラスの大きな特徴だといえます。

■買えればラッキーな新車購入事情

パワートレインのパワフルさは、従来型以上にボディの重さを感じさせません。4.0L V8ツインターボエンジンは、ISGと組み合わせられ0→100km/h加速はわずか4.4秒。約2.5トンのボディを軽々と加速させていきますので、高速道路への合流時などが非常に楽に感じます。

ドライブモードを切り替えればエンジンマッピングも変わり、スポーティな運転も楽しめてしまうところはAMGモデルならでは。先述の電子制御サスも相まって、コーナーでは狙ったラインをトレースできてしまう能力も持ち合わせます。ただし、SやS+モードはガソリンがみるみる減っていきますので要注意。100Lの容量を誇るガソリンタンクが、小さく感じてしまうほどです。

そんなGクラスですが、最近では新車を購入するのにもひと苦労するほどの人気を誇ります。その理由に、驚異的なリセール率が後押ししていることは間違いないでしょう。特に今回試乗したメルセデスAMG G63は、買った瞬間プレミアが付くともいわれるほど、買取市場では高額で取引されています。これはセルカの買取実績からもうかがい知ることができます。

最近では、限定車という販売方法が増えているGクラスですが、これは需要に対して供給量が間に合っていないことも関係しています。今回も、ローンチエディションという特別仕様車扱いでの販売でスタートしていますが、もうすでにオーダーはできないとウワサも聞こえはじめています。今後通常のグレードが出てきたとしても、台数が限られることはまず間違いないでしょう。

リセールの良さから、買ったらマイナスになることはないと評判のGクラス。購入できた人は幸運の持ち主なのかもしれません。唯一無二のラグジュアリーオフローダーという魅力を持ったメルセデス・ベンツ伝統の車種が、投資対象になってしまったことに残念な思いもあります。ですが、一方ですでに3000万円以上にまで高騰してしまった価格を支払ったとしても損をしないほど、価値の高いクルマということに驚きを隠せません。購入できる人は、いま買っておくべきクルマの1台といえるでしょう。

セルカのGクラスの売却実績はコチラから

<文&写真=青山朋弘>


メルセデス・ベンツ Gクラス 主要諸元

■メルセデスAMG G63 ローンチエディション(4WD・9速AT) 
【寸法・重量】
全長:4690㎜
全幅:1985㎜
全高:1985㎜
ホイールベース:2890㎜
トレッド:前1655/後1660㎜
車両重量:2570㎏
乗車定員:5人
ハンドル位置:左/右

【エンジン・性能】
型式:177
種類:V8DOHCターボ
総排気量:3982cc
ボア×ストローク:83.0×92.0㎜
最高出力:430kW(585ps)/6000rpm
最大トルク:850Nm(86.7㎏m)/2500~3500rpm
使用燃料・タンク容量:プレミアム・100ℓ
WLTCモード燃費:6.8㎞/ℓ
最小回転半径:6.3m

【諸装置】
サスペンション:前ダブルウィッシュボーン/後リジッドアクスル
ブレーキ:前後Vディスク
タイヤ:前後285/45R21

【価格】
3080万円(消費税率10%込み)


この記事を書いた人

TomohiroAoyama

青山朋弘

新車専門誌、中古車専門誌、モータースポーツ誌などの編集部を経て、
現在はフリーランスの編集&ライター。
自動車専門誌やWebサイトに寄稿しながら、YouTube動画の撮影・編集も行う。
愛車は10年前に走行5万kmで見つけた、NA型ロードスターの初期型。
趣味のMTBをどうやって積むのがいいか、常に試行錯誤している。

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